【米国株式市場週間レビュー:6月30日~7月2日】AI一強から市場全体へ。健全なローテーションは始まったのか?

投資

先週末は、私用で週末いっぱい出かけていてアップデートできませんでした。週末の都合によってはこういうこともあります。ご容赦ください。

今週は、7月3日(金)が、独立記念日(7月4日)の振り替え休日のため、7月2日までの4日取引の短い週でした。

6月最終週から7月初めにかけての米国株市場は、一見すると方向感の乏しい相場でした。しかし、その中身を見てみると、市場内部では大きな変化が起きていた1週間だったと言えそうです。

これまで市場をけん引してきた半導体・AI関連銘柄が利益確定売りに押される一方、景気敏感株や金融、消費関連などへ資金が流入しました。

指数だけを見ると大きな動きはありませんでしたが、「AI一強相場」から「市場全体へ資金が広がる相場」へ移行する兆しが見え始めた週だったのではないでしょうか。

概要&マクロ

独立記念日前で取引日数は4日間でしたが、NYダウは史上最高値を更新。一方でNASDAQは週間ではプラスを維持したものの、週後半は半導体株の急落によって失速しました。

イラン問題は市場にとって「過去のテーマ」に

今週もイランとの停戦を巡って散発的な衝突は報じられました。

しかし、市場の反応を見る限り、投資家の多くは「戦争は解決へ向かう」と考えているようです。

ブレント原油価格も70ドル割れまで低下し、数週間前まで市場最大の懸念だったインフレ圧力は大きく和らぎました。

もっとも、完全な和平が成立したわけではありません。

イスラエルを含めた中東情勢には依然として不確実性が残っており、市場がやや楽観的になり過ぎている印象も受けます。

雇用統計は「ほどよい減速」

今週最大のイベントは6月雇用統計でした。

非農業部門雇用者数 57,000人増
市場予想 約110,000人増
失業率 4.2%

という内容で、一見すると弱い数字でした。(実際、予想よりは弱い数字)

しかし詳しく見ると、

景気後退を示すほど悪くない
労働市場は依然安定
過熱感だけが少し和らいだ

という「ちょうど良い減速」と受け止められました。

この結果を受け、市場ではFRBのウォルシュ議長も慌てて金融政策を変更する必要はなく、今後もデータを見ながら判断できるとの見方が広がりました。

金融政策は一旦落ち着く局面

6月は

日銀
FRB
ECB

と主要中銀の金融政策イベントが続きました。

これらが一巡したことで、市場の視線は再び企業業績へ戻りつつあります。

次の大きなイベントは7月中旬から始まる第2四半期決算シーズンとなりそうです。

セクターの動き

半導体・AI関連

今週最も目立ったのは半導体株の急落です。

フィラデルフィア半導体指数(SOX)は週間で約5〜6%下落し、今年最大級の調整となりました。(7月1日・2日の二日間では、11.4%の下落)

ただ、ここで重要なのは、

「半導体が売られた=AIテーマ終了」ではない

という点です。

今回の下落には、

上半期大幅上昇後の利益確定
半期初めの機関投資家によるリバランス
AIインフラ投資の採算性への一時的な懸念

など、複数の要因が重なっています。

AI需要そのものが失われたわけではありません。

むしろ市場は、

「GPUを作る企業」

だけではなく、

「AIで利益を生み出す企業」

へと関心を移し始めているようにも見えます。

私は、これはAI相場の終わりではなく、第二ラウンドの始まりと考えています。

景気敏感株

半導体とは対照的に、

金融
一般消費財
工業
旅行関連

などは堅調でした。

景気敏感株への資金流入が続いていることから、市場全体としては依然リスクオン姿勢が維持されていると考えられます。

エネルギー

原油価格下落を受け、エネルギーセクターは軟調でした。

ここ数週間、市場を支えてきた原油関連株には利益確定売りも目立っています。

個別銘柄で目立った動き

(グリーンでハイライトした銘柄は、この週にAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新した銘柄)

Apple(AAPL)

今週の主役の一つ。

新型iPhoneへの期待から約5%上昇し、NYダウを押し上げました。AAPLが半導体の調達を中国企業から行うことを検討しているというニュースもあり、そのニュースでサンディスクなどの既存取引半導体メーカーの売りを誘っています。

NVIDIA

市場全体が堅調な中でも利益確定売りに押されました。

ただし、業績見通しが悪化したわけではありません。

市場がAI関連へ集中していた資金を一旦他セクターへ振り向けた結果と見る方が自然でしょう。

Tesla

第2四半期の納車台数は市場予想を上回ったものの、株価は約7%下落しました。

期待が高かっただけに、「好決算でも売られる」という典型的な利益確定相場となりました。

為替・原油・金

為替

雇用統計を受けてドルは軟化。

FRBの追加利上げ観測がやや後退したことが背景です。

原油

イラン情勢の改善期待から70ドル以下まで下落。

市場が最も警戒していたインフレリスクは一旦後退しました。

ドル安を受けて上昇。

地政学リスクよりもドル安要因が意識された週でした。

今後の見通し

① 半導体調整は続くのか

来週以降最大のテーマです。

今回の下落が

「利益確定」

なのか、

「AI投資見直し」

なのかで今後の相場は大きく変わります。

現時点では私は前者(利益確定)の可能性が高いと見ています。

② 決算シーズン

7月中旬から本格化する決算が市場の焦点になります。

企業がAI投資をどの程度利益へ結び付けられているかが注目されます。

③ 市場の広がり

個人的に最も注目しているポイントです。

今週はNASDAQが伸び悩んだ一方、

値上がり銘柄数は比較的多く、

NYダウは史上最高値を更新しました。

これは

「AIだけが上がる相場」

から

「市場全体が上がる相場」

へ変化している可能性を示しています。

もしこの流れが続くなら、むしろ強気相場としては非常に健全な姿と言えるでしょう。

④ プライベートクレジット市場

大きな変化はありません。

しかし、高金利環境が続く中で借換え需要は今後本格化します。

株式市場が楽観的な一方で、信用市場は依然慎重です。

この温度差は引き続き注意深く見ていく必要があります。

まとめ

今週は半導体株の急落が大きく報じられました。

しかし、市場全体を見ると決して悪い1週間ではありませんでした

むしろ、

景気敏感株への資金流入
NYダウの史上最高値更新
値上がり銘柄数の多さ

などを見ると、市場内部では健全なローテーションが進んでいるようにも見えます。

AIブームが終わったのではなく、

AI一強から、市場全体へ。

そんな新しい相場の始まりなのかもしれません。

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